社内で実践!働き方改革の進め方(8)課題を挙げよう~その3【組織体制・仕組み・社内規程や制度】
【2018年9月25日公開/2024年5月4日更新】
前のコラムでは、働き方改革の進め方(7)課題を挙げよう~その2【意識編(管理職・一般社員)】ということで、「意識面」を見てきたニー。
今回は、体制や仕組み、制度についての課題だニー。
前回がソフト面であるのに対して、今回は「ハード面」に当たるニー。
ここで、少し気をつけたいことが「組織体制・仕組み・社内規程や制度」は「風土」とは違う、ということだニー。
風土は「意識」であり、「ソフト面」。
今回のステップで挙げたい課題は、表面化されている事実・現状。
少し注意をしながら洗い出してみてほしいニー。
しっかりと分類わけすることが、今後の解決策検討に繋がるニー。
働き方改革を実践する上でよくある課題(1)「組織の体制」
まず確認しておきたいことが「組織全体」の課題です。
一人一人の仕事内容を分析する前に、「組織としてどんな課題があるのか」を知るということが大切です。
その中でも柱になるのが「体制」です。
まずは、よくある課題を見てみましょう。
【よくある課題(組織体制)】
・働き方改革の推進体制・責任者がはっきりしていない
・役員や管理職、すべてプレイングマネージャーであり、体制が整わない
・総務や人事担当役員が他の職務と兼務で、実際に業務を行っているのは一般社員のみのため、働き方改革を推進することができない
どんな業務・プロジェクトを進めていくにも必要な役割、それが「責任者」と「実行役」です。
これらの役割が曖昧だったり、不在だと、「誰かがやるだろう」「進まないのは自分のせいではない(周囲のせいだ)」と人ごとに捉えてしまします。
現在の御社の状況はいかがでしょうか。
「現状を変えられるはずがない」と思わず、まずは課題を洗い出していきましょう。
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働き方改革を実践する上でよくある課題(2)「仕組み」
次に、よくある課題「ハード面」の2つ目、「仕組み」について見ていきましょう。
【よくある課題(仕組み)】
(1)会議の仕組みがもったいない!
・議論をしない共有だけの会議や、結論の出ない会議、アクションに繋がらない会議の頻度が多い
・業務改善会議、5S会議は行っているが、形骸化している
(2)労働時間を把握する仕組みがもったいない!
・労働時間を管理する仕組みがない、あるいは手作業で行っているため時間がかかっている
・労働時間の把握と経営数字の把握を別々に行っているため、時間外労働と意識が結びついていない
・時間外労働をしている割に、利益が上がっていない(=付加価値を生み出す時間外労働になっていない)
(3)情報連携の仕組みがもったいない!
・労働時間や休暇の取得状況を全社員が把握できる体制になっていない(勤怠計算担当部署・担当者のみ知っている)
・縦割り組織、あるいは個人単位で仕事を進める仕組みになっており、業務改善事例や取組が共有できていない
・仕事を教える手順が標準化されていない
社内には、上記であげた会議、情報共有、各種数値の把握の他にも、仕事の指示の出し方、社内決裁の手順など、たくさんの「仕組み」があります。
ここでは、「一人で完結すること(仕事の進め方や偏り)」ではなく、あえて部と部、課と課の中で遂行されている「仕組みの課題」を挙げてみましょう。
(仕事の進め方や偏りは、次のステップでみていきます)
ポイントは、「自分(達)のことを棚上げして出してみる」と同時に、「自分達の部署・自分達の課で行っている仕事の進め方」も見直すこと。
多方面から考えてみることが大切です。
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働き方改革を実践する上でよくある課題(3)「制度」
3つ目に、「制度」について見ていきます。
制度とは、評価制度、給与制度、雇用体系、就業規則など、労務上(働く上で)基本的なルールを指します。
【よくある課題(制度)】
(1)評価制度
・長時間働いた方が、給料が増える制度になっている
・評価内容について、社員が正しく理解していない・する機会が無い
・成果ばかりを求める評価、プロセスばかりを求める評価など、評価内容に偏りがある
・評価内容を実践したとしても、評価は上がるがスキルアップ・業績向上に繋がらない
・評価面談が形式的になっており、人材育成や業務改善につながる話ができていない
(2)社内の制度
・ノー残業デーがあるが、形骸化している(制度は認知されているが利用できていない、あるいは認知もされていないなど)
・ノー残業デーがあるが、経営者自身が会社に残って働いている
(3)雇用に関する制度
・就業規則、時間外・休日出勤に関する労使協定、雇用契約書が整備されていない、明記したものが無い
・正社員(決まった時間働く)という働き方以外(短時間正社員やパートタイマー、契約社員等)は認められていない
・正社員とパートの仕事内容・責任範囲の区別がなされていない
これらの「制度」については、社内だけを見ていてもなかなか気づきづらい点、偏りがある点であると言えます。
厚生労働省の「働き方・休み方改善ポータル」で事例を見てみる、あるいは社内の制度を単に見回すだけではなく、「今後働き方を変えていった場合に弊害が出る可能性がある点はなにか」ということを念頭に置いて意見集約していくとよいでしょう。
■まとめ
今回は、ハード面(組織体制・仕組み・制度)上でよくありがちな課題を挙げました。
これらについては、普段から不満や愚痴の声が上がっていることも多く、つい「目先の課題」に注目してしまいがちです。
しかし、社内に潜む課題は「声に上がっていることだけ」ではありませんよね。
また、目についたものから解決しようとすると、「本当に解決しなければならない点はココじゃないのに…」という思いから、しばらくするとその変革が形骸化してしまうことも考えられます。
ですから、客観的な視点、かつ様々な角度で見つめ直し、出来る・出来ないに関わらず「とにかくたくさん出してみる」ということが大切です。
その上で優先順位をつけて、取り組む課題を検討していけば、より効果の高い(会社にとっても、社員の方にとっても有意義な)点から変革していくことができます。
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