【就業規則の作り方】リノベーション就業規則で会社の歴史を活かす方法

【就業規則の作り方】リノベーション就業規則で会社の歴史を活かす方法

【2019年6月14日公開/2021年8月18日更新】

今日は、創業50年を超える会社様にお邪魔しているニー。
就業規則の改定ということお話を伺っているニー。

社長は、「今ある就業規則が古いので、法律に即した就業規則を作りたい」と言われているニー。

ん?よく見ると、歴史ある会社さんならではの特徴的な条文があるニー。
真新しく規則を作ることはもちろんできるけれど、せっかくだから「古いから新しくする」だけではなく、味(良さ)を生かしていきたいニーな。

ちょっと待って!その就業規則、本当に変えてしまっても良いですか?

色々なご事情で事業承継された社長様や、新たに管理部門を任された役職者様。
社内を見渡し、少しでもよくしていくためにはどうすれば良いかと、様々な角度からご検討されていることと思います。

その課題の一つとして取り上げられるのが「人事労務」という分野です。

内容は各社様々ですが、例えば次のような内容が挙げられます。

・働く時間を見直したい
・働きがいを見直したい
・ダラダラ働く風潮を見直したい
・賃金体系を整理したい
・残業代を見直したい

これらを進めるにあたって、必ずと言って目にされるのが「就業規則」でしょう。

就業規則を覗くと「え!作ってからこんなに時が経っているのか」「紙がボロボロで、データもない」そんなこともしばしばあります。

そして、作り変えるにはどうすればよいのだろう…と思い、関連する書籍やサイトを覗くと「会社を守る就業規則を作らなければ、訴えられた時に危険ですよ!」という文字が目に入ります。

その結果、「こんな古い就業規則ではなく、”いまどきの”就業規則を作ろう」と社労士に依頼をする…

こんなことが多々有ります。

確かに、現状に合っていないルールは変更すべきです。
しかし、本当に「今の時代に合わない」とイチから作り直してしまっても良いでしょうか。

御社はこれまでその就業規則で問題が多発していたのでしょうか。

よく見ると、御社がここまで続いてきた歴史が詰まった一冊かもしれません。

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変えなければならないことと、変えてはならないこと

就業規則は、「この内容は絶対に書かなければならない」という項目が法律で決まっています。
例えば、給料、勤務時間、休暇 などです。

それでは、その「必要最低限の項目しか書いていないか」というと、決してそうではありません。

会社で大切にすることや、経営者の想いなどが書いてあるケースもあります。
歴史を重ねられてきた会社様であればあるほど、話し合いの時の考え方や、労使の在り方など書かれているケースも少なくありません。

それらをすべて、「不要だから」と削除してしまうのはもったいないです。
なぜなら、それが会社の特徴であり、もしかすると長く続いてきた「秘訣」だからかもしれないからです。

ですから、一見、書いてある内容が「前時代的だな」と感じる項目であっても、本質として何が言いたかったのか、その意図を考えたうえで、残す・残さないを検討してみましょう。

具体的に「変えなければならないこと」と「変えてはならないこと」を挙げてみていきます。

【変えなければならない項目】
・現状と合っていない内容
(例:現在の始業時刻は9:00だが、規程上は8:30になっている)

・法改正があったのに変えられていない項目
(例:定年年齢が55歳となっている、育児休業や介護休業について書かれていない)

・言葉や表記が難しすぎて、理解しづらい項目
(例:蓋し(けだし)、旧仮名遣い)

【変えてはならない項目】
・経営理念や社是、その他会社として大切にしていることを明記した項目
(例:問題が起こった時は労使協力して解決する、お客様に対する考え方など)・創業者の想いなどが書かれた項目
(例:まえがき、あとがきなど)
【一見すると変えてしまいがちだが、吟味が必要な項目】
・書いてある内容が「前時代的だな」と感じる項目
(例:休暇に対する考え方、役職者の在り方など)

「今の時代に合わない」と感じることも、本質として何が言いたかったのか、その意図を考えたうえで、残す・残さないを検討してみましょう。

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良さを生かしながら改定していく方法

こうした歴史のある会社様の就業規則の改定でよくあるのは「良かれと思って」古い就業規則から新しい就業規則に変更する、というものです。

誰も「悪くしよう」と思って変えません。

現状や時代に合わない就業規則を払拭し、今働いている社員の方にとって、よい就業環境を作っていきたい…
そう考えられるのは決して間違いではありません。

しかし、頭に置いておきたいものは引き継がれた時がどんな状況であれ、「歴史」を紡いできたことには変わりありません。

そして、組織というものは人が入れ替わり、 「時とともに、創業者の想いは薄れて」いきます。

そう考えると、受け継がれてきた会社の文化が垣間見える「昔ながらの就業規則」はとても貴重です。

良さを生かしながら、 今を担う私たちで練り上げる、まさに「リノベーション就業規則」にしてみてはいかがでしょうか。

方法は簡単です。

1 変更すべき項目とそうでない項目の洗い出しをする

2 変更すべき点について変更する

3 法律監修は専門家(弁護士や社労士)に依頼する

さらにもう一歩、就業規則を組織成長の機会とする2つの方法

1 上記の作業を「幹部やリーダー、リーダー候補」から選出したプロジェクトメンバーで進めていく

自分たちで進めれば進めるほど、「自分たちの働き方」として捉えることができるようになります。

2 規程の改定をするとともに、創業者精神を考える、触れる、探す機会を作る

急に「創業者精神を考えよう」と言うのも突然すぎますので、就業規則改定を機会に触れてみるととても良い機会になりますよ。

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■まとめ

今回は、事業承継された社長にこそ読んでいただきたい「就業規則」の改定方法について見てきました。

就業規則は家と同じで、「古いから新しいものへの建て替え」も可能ですが、「良さを生かしながら、時代に合わせる」ことも出来ます。

会社の存在意義、経営理念、創業者精神など考えるいい機会になること間違い無しです。

ぜひ「リノベーション就業規則」として作り変えられてみてはいかがでしょうか。

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