世界一わかりやすい「かんたん就業規則解説」~就業規則に記載すべき内容とは

世界一わかりやすい「かんたん就業規則解説」~就業規則に記載すべき内容とは

【2018年6月22日公開/2021年7月14日更新】

今日は「就業規則をつくりたい」という会社さんに来たニー。

でも話を聴いてみると、社長も社員の方も、「就業規則を作りたい!」とわくわくする感じではなく、「社員数が10人だから作らないと…」という感じだニー。

雰囲気からすると「就業規則は社員を規制するもの、縛るもの」というイメージがあるみたいニー。

それじゃあ、「何が書いてあるのか」「何のために作るのだろう」というところから、一緒に考えていこう二ー。

就業規則とは何か、大切なことが書いてある就業規則なのに、誰も「見たい」とは思わない現実

就業規則とは何でしょうか。まずはここから説明します。

就業規則に関しては、法律(労働基準法という法律)に次のように決められています。
(1)1つの事業所で10名以上の従業員を雇う会社は
(2)法律で定められた内容が書かれている「就業規則」というものを作り
(3)その事業所を管轄する労働基準監督署に届け出なければならない

このように、法律で決められているので、「作らないといけない…」という認識になるようです。

一方で、働く社員の方に就業規則について尋ねると、「見るのは”会社を辞める時”か”有給休暇を取りたいと思った時”だけ」と言われることがほとんどです。

実際に、日本労働組合総連合会「労働時間の調査」(2015年)でも全体の4割以上が「就業規則の内容を把握していない」というデータが出ています。

しかし、よく考えると就業規則には、働く時間やお給料、休みなど、とても大切なことが書いてあります(記載しなければならない事項については、次で触れます)。

本当に知らなくても、読まなくても良いのでしょうか。
「作らないといけないからとりあえず作る」という消極的理由にするのは勿体ないとは思いませんか。

 

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就業規則に書かなければならないこと、書いても良いこと(必要記載事項)

法律には、「必ず書かなければならないこと(絶対的記載事項)」と、「社内で制度があるのであれば書かなければならないこと(相対的記載事項)」が定められています。

◇必ず書かなければならないこと(絶対的記載事項)
※法律用語そのままではなく、わかりやすい表現にすることを優先しています。法律用語で確認したい場合はこちら(厚労省リンク~モデル就業規則について)を参考にされてください。

(1)始業時刻・終業時刻
(2)時間外労働(残業)があるかどうか
(3)休憩時間
(4)休日
(5)休暇
(6)お給料(退職金やボーナスに関しては除く)について(計算方法や締め日・支払い時期、昇給など)
(7)退職について(退職する場合はどんな場合か、解雇する場合はどんな場合かなど)

◇社内で制度があるのであれば書かなければならないこと(相対的記載事項)

(1)退職金について(支払い時期、方法、対象者など)
(2)ボーナスや臨時で払われるお給料、その他の手当の内容について
(3)社員が負担する食費その他の費用について
(4)安全管理について
(5)衛生管理について(健康診断の実施など)
(6)教育訓練について(研修制度や費用補助制度など)
(7)災害補償について(仕事中の怪我・病気などの補償)
(8)表彰制度について(永年勤続表彰など)
(9)制裁(ペナルティ)について
(10)休職について(期間やどういう場合が休職になるか、その時の取り扱いなど)

◇任意で書いても良いこと
上記の事柄以外については「任意記載事項」として、会社が独自に記載しても良いとされています。

なお、書かなければならないと制限されているのは「項目」だけで、その表現方法や記載方法については、実は法律の決まりはありません。

ですから、第○条という書き方をしなくとも、1.2.・・・と書いても構いません。

 

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就業規則の作成は「ひな型」ではダメなのか

いまや、「就業規則 ひな形」と検索すれば、山ほどの就業規則データが出てきます。

厚生労働省が出しているモデル就業規則もあります。
これらのひな形については、ある程度しっかり作られており、前述した「記載事項」が漏れているということはまずないでしょう。

時に「就業規則のひな形を作るのは問題なのでしょうか?」と質問をいただきます。
答えは「とりあえず形を整えたいということであれば、ひな形を使って作ってOK」です。

しかし、押さえておくべきポイントが3つあります。
1つは、始業時刻や休憩時間、休日や、お給料の手当の名称など、「会社の状況に合わせて」きちんとアレンジすること。
ひな形をアレンジするのは、パターンオーダーで作るスーツのようなもの。
自分のサイズに合わせて作らなければ、丈に合わないものになってしまいますよね。

もう1つの条件、それは「就業規則作成の責任者(担当者)は必ず内容を理解する」こと。
就業規則は「会社の制度」を表す大切なものです。「知らなかった」では済まされないからです。

最後に、「ひな形をベースにした就業規則は読みづらい(読みたいとは思えない内容が多い)」 ということ。
ひな形は、どうしても法律の条文をそのまま引用したものが多いです。
なぜなら、ひな形は「誰もが利用する可能性がある」として作成されたものですから、なるべく「平準化」しているためです。
読みづらいということは、「作ったから読んでおいてね」と言っても誰も読まないということです。

これらの事柄を認識した上でひな形を利用するのは問題ないと思います。

また、先ほど「とりあえず形を整えたいということであれば、ひな形を使って作ってもOK」とお伝えしました。

とりあえず形を整えるだけではなく、就業規則を作ることに合わせて社内の体制も整えたい、もっと全社員で働き方を考えたい、そんな場合は、ひな形を使って作成し「読んでおいてね」ではなく、その作成の過程を企業の成長機会にすることをおすすめします。

 

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■まとめ

就業規則は、法律で「1つの事業所で社員10名以上を雇う場合は作りなさい」と定められているものです。
また、盛り込まなければならない事柄も法律で決められています。

ですから、多くの企業では就業規則が存在するわけですが、経営者や働く社員にとって就業規則の存在は非常に薄いことが多いです。

「作らなければならない」という消極的理由から作った規則であれば、それも致し方ないと思います。

しかし、活用方法、作成方法を変えるだけで、その存在価値は大きく変わります。
ぜひ御社が就業規則を何のために作るのか、どう活用したいのか、考えてみてくださいね。

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