【創業100周年】「まだ100年、されど100年」と語られる100年企業の想い~西村陶業株式会社(京都市山科区)

【創業100周年】「まだ100年、されど100年」と語られる100年企業の想い~西村陶業株式会社(京都市山科区)

【2019年6月12日更新】
【2019年1月10日公開】

創業100周年「まだ100年、されど100年」―――

2018年11月に開かれた、西村陶業株式会社さまの創業100周年記念パーティーで配布された冊子の表紙に書かれていた言葉です。

西村陶業さまは京都市山科区に本社を構えられるセラミック製造メーカー

大正7(1918)年に創業されて以来京都という地において事業を続けてこられ、2018年は創業100周年を迎えられました。

経営陣が語られる「創業から100年存続してきた秘訣」とは

これまでオイルショックなどさまざまな波に直面した。

事業が落ちるのは怖い。
事業を伸ばすより、時代の変化に合わせ、まず維持させたい。

それが100年間、会社を存続させる知恵だ。

そして、京都の伝統であるセラミック技術を残したい

京都高度技術研究所が選ぶ「オスカー企業認定企業」として受賞された際に受けた取材において、西村 嘉浩社長はこのように語られていました。

変わり続けていく世の中において、「まったく変わらない(成長しない)企業」は淘汰されていくでしょう。

しかし、だからといって、市場を見極めず新規事業に参入したり、社員を省みない社内大改革を進めることは、企業の足元をすくわれかねません。

西村陶業さまは、まさに「変わらず、変える」ということを実践されてきた。

だからこそ、100年という歴史を積み重ねてこられたのではないでしょうか。

また、奇しくも創業100周年パーティーにおいて、西村 嘉夫会長もこのようにおっしゃいました。

もしかしたら、やろうと思えば売り上げ規模も、従業員数もさらに大きな『大企業』になれたのかもしれません。

しかし、私たちは『それはしない』という選択をしてきました。

これからも、経営理念のとおり『顧客の満足するものづくりにより、より豊かな生活を実現する』ことを地道にコツコツと行っていきます

100年企業に成長される中で醸成され、受け継がれた、まさに「会社の神髄」なのではないかと思います。

100周年記念パーティーでは「全社員を表彰」

ウェスティン都ホテル京都で開催された「創業100周年記念パーティー」。

パーティーには、やむを得ず欠席された方を除く、全社員の方が出席(パートタイマーの方、嘱託社員の方ももちろんご参加)され、笑顔あふれる会となりました。

この中で、社長たっての希望で「全社員表彰」が行われました。

永年勤続表彰をはじめ、日頃頑張ってくださっている社員さんに敬意を表したいということでお一人お一人表彰状を手渡しされていました。

節目年数、表彰ごとに記念撮影

その中でも、一番印象に残っているのは、「勤続50年表彰」です。

すでに定年退職をされ、嘱託社員として勤務されている方々ですが、一番長い方で勤続55年。
50年と言えば半世紀。

半世紀もの間、時代、会社、社内の変遷を見てこられ、ご自身の技術を磨いてこられた皆さん。

本当に素晴らしいなと感じます。

これも、大きな変化を起こし続けるのではなく「時代の流れに合わせて変わっていく」ことを実践されている西村陶業さまだからこそ、働き続けてこられたのではないかと思います。

乾杯は「セラミック」を活かした新製品!?

乾杯の際に日本酒を注いだのは、白いおちょこ。

よく観ると、西村陶業さまの100周年ロゴが巻かれています。

後から聞けば、これはセラミック製で、100周年記念パーティーのために社員の方が製造され、会長自ら磨かれたとか。

パーティー終了後は箱に入れて、持ち帰ることができるお心遣い。

普段は、工業用セラミックスということで部品の一部として使われ、私たちが直接目にすることは少ないセラミック製品。

しかし、このおちょこは結婚式の乾杯、引き出物にもぴったりですね。

百貨店に並ぶ日も近いかもしれません!

「社長、101周年パーティーをやってください!」

後日、会社にお伺いして社長とご担当社様にお話を伺いました。

「100周年記念パーティー以降、社内が良い雰囲気だなぁと感じています。

中には、『社長、101周年パーティーもやってください!』といってくる社員もいるんですよ(笑)」と社長。

当たり前ですが、会社は、お客様の満足する製品(商品)をつくらなければ、市場から受け入れられることはありません。

しかしお客様「ばかり」見ていては会社は成り立たず、会社で働く社員の方、一人ひとりが居てこそ、製品は作り上げられます。

日々仕事をしていると、良いこともそうでないことも含めて様々なことがあります。

しかし、100周年記念パーティーという大きな節目が、社員の方にとっての働きがい、やりがいを感じられる場になったとすれば、これほど素晴らしい機会はないのではないでしょうか。

まさに、お客さま-会社-社員の方を結ぶ、貴重な場になったのではないかと感じます。

今後も、西村陶業様のご発展、そして京都の伝統技術の継承、心から願っております。

編集後記

「こんにちは!荷物はこちらですよ」
「お久しぶりです!元気でしたか」

パーティーに伺うと、どんどん話しかけて来てくださる社員の方々。

「(自分とは違う)会社のお客様」としてではなく、「人として接してくださる」

当たり前のようで、なかなか出来ない、これぞ西村陶業さまならではの「温かさ」だと感じます。

西村陶業さまでは、2014~2015年にかけて、社員研修の実施、就業規則の作成を実施させていただきました。

そのため、社員の方お一人おひとりのお顔を存じ上げています。

普段、会社に伺った際ににこやかにしてくださる挨拶や接客。
担当者様のいつも細やかなお心遣い。

そんな一つ一つが西村陶業さまの魅力であり、「組織力」なのだと感じます。

100周年にとどまらず、110年、120年と時を重ねられる西村陶業さま、そして社員のみなさんをこれからも全力でサポートしながら共に進んでまいりたいと思います。

100周年という貴重な機会、また楽しくあたたかな時間を過ごさせていただきまして、ありがとうございました!

【会社情報】
社 名:西村陶業株式会社
事 業:セラミック製造メーカー
本 社:京都市山科区
社員数:50名
創 業:1918(大正7)年
受 賞:
経済産業省 2016年度「はばたく中小企業・小規模事業者300社」
京都高度技術研究所 2014年度「オスカー企業認定企業」
その他テレビや新聞でもたくさん取り上げられている企業さまです。

2019年初版「関西で長く愛されている優良企業180選」(日刊工業新聞社)にも掲載