社内で実践!働き方改革の進め方(2)知る~多様な働き方って、例えば何?(社内編)
以前は、「正社員」か「パート」かといった、ある程度決まった働き方が多かった日本。
でも最近は、“ダイバーなんとか”だの“テレワーク”といった慣れないカタカナ文字が増えてきたニー。
「多様な働き方」って、一体なんなんだニー。
今回は、「社内における多様な働き方」について見ていくニー。
実は古い歴史がある!?「多様な働き方」(ダイバーシティ)とは
ダイバーシティとは「多様性」と訳されます。
多様性とは、「性質の異なるものが存在すること」。
「みんなちがって、みんないい」
そんな、有名な詩人である金子みすゞさんの詩の中に出てくる言葉がぴったりではないでしょうか。
これを働き方にあてはめると、「色々な働き方があって、いいじゃない。一人ひとりがイキイキ生きられるなら」こんな意味合いになるのではないかと思います。
ダイバーシティというと、「最近できた言葉」というイメージがあるかもしれませんが、実はそうではありません。
昔(1960年頃)から、性別や人種、年齢、あるいは障害の有り無しに関わらず働くことのできる社会づくりを目指されてきました。
【1分で分かるダイバーシティの歴史】
(現代における「多様な働き方」を知りたい方は読み飛ばしてください)
ダイバーシティの歴史は古く、1960年代にアメリカで人種差別の撤廃が叫ばれたことに始まります。
日本においては
1985年 男女雇用機会均等法(男性も女性もイキイキ働ける社会に)
1992年 育児休業法
(1995年に「育児・介護休業法」に)(育児や介護をしていてもイキイキ働ける社会に)
1999年 男女共同参画社会基本法
といった法律が次々と出ています。
しかし、性別にかかわらず「多様な人が働ける社会にする」ことを目指し、実は日本においても古い歴史も存在します。
1960年 障害者雇用促進法(障害を持つ人もイキイキと)
1971年 高齢者雇用安定法(ご高齢の方もイキイキと)
法律はその時代に合わせて改正はされますが、「多様な働き方」は50年以上前からのテーマだったことが伺えます。
しかし、問題なのは「法律ができても、社会の状況はあまり変わっていない」ということです。
その結果、現在「将来的に働く人(労働力人口)が減る」ことが予想され、本気で様々な働き方を考えていかなければと、色々な企業が様々な制度を作ったり組織風土を変えながら対応している、それが「いま」であるといえます。
「社内でできる」多様な働き方~様々な社員の種類・契約形態
一昔前までは、「社員」と言えば「正社員」と「パート」が一般的でしたが、現在、様々な企業が試行錯誤のうえ多種多様な働き方を考えています。
私たちには、どんな働き方の選択肢があるのか見ていきましょう。
まずは、「どんなタイプの社員がいるのか」ご紹介します。
なお、ここに紹介するのは一般的に世に存在する働き方です。
この世の中に存在しても、会社として制度を敷いていない場合も多々あります。
例えば「ウチの会社って、短時間正社員制度ってあるのかな?」そう思ったら、人事のご担当者様に確認されるか、「就業規則」を見てみてくださいね。
特に期間を定めずに働く働き方。
月給制である場合が多いが、日給月給制(働いた日数分だけ給料がもらえる)などもある。●パートタイマー・アルバイト
期間を決めて(3か月契約や6か月契約など)働く場合と、定めずに働く場合がある。
時給制である場合が多い。●契約社員・準社員
一般的には、契約期間を定めて働くことが多いが、法律の改正により「期間の定めがない場合」も出てきた。
働く時間は正社員と同じで「月給制」である場合が多いが、正社員同様「絶対に月給でなければならない」という規制は無い。会社によって正社員との違いは様々だが、賞与の有無や金額、退職金の有無、手当の有無・金額で差があることが多く、近い将来「同一労働同一賃金(同じ仕事するならば、同じ給料にせよ)」により、注目を浴びる存在になることが予想される。●派遣社員
派遣会社から、他社に派遣されて働く働き方。契約期間を定めて雇用されることが多いが、一定の年数以上働いた場合は「無期雇用での派遣社員」(派遣元で期間の定めなしの契約をする)で働くケースもある。
●紹介予定派遣
正社員になることを前提に「派遣社員」として働く働き方。
最長6ヶ月間の派遣社員期間を経て、お互いが「ココで働こう」「ウチで働いてほしい」と思った場合に、正社員として雇用される。
派遣社員との大きな違いとして、その企業に派遣される前に「事前に面談をしてもOK」という点が挙げられる(一般の派遣社員の場合は、事前面談はしてはならない)。
●短時間正社員
正社員(=期間の定めはない)だが、育児や介護、あるいはその他の事情のため、働く時間が短く、その労働時間数に比例して給与額も少なくなる働き方。
(例)フルタイムで月給20万円の人が、働く時間が3/4になった場合、月給15万円になる
月給が補償されている点、社会保険も(条件に該当すれば)引き続き加入されることが特長。
ただし、育児期間はお子さんの都合で休むこともあり「時短期間(時間短縮をして働く期間)だけは時給制にする」という企業もあるので、どの働き方・どの給料が良いかは、よく相談して決めることが大切。
●嘱託社員
契約社員とほぼ同じ意味だが、一般的には「定年退職後に契約期間を定めて働く働き方」を「嘱託社員」と呼ぶことが多い。
これまで受けた「恩」をつなぐ、「恩送り期間」と表現する会社もある。
「社内でできる」多様な働き方~正社員かパートタイマーかに関わらず取り組める「働き方の工夫」
最後に、社員の種類に関わらずできる働き方の工夫をご紹介しましょう。
これから紹介するものは、会社が一方的に決めるものでも、社員のみなさんの希望だけで実現するものでもありません。
しかし、これをご覧いただいているみなさんが「こんな制度もある」「こんな働き方もある」と知り、自社で、あるいは自分でどんな働き方が可能なのか、イキイキ出来るのかを知ることにお役立て頂ければと思います。
「会社で必ず仕事をする」のではなく、自宅やカフェ、会社が契約するサテライトスペースで仕事をする形態。●週休3日制・週4正社員
一週間のうち働く日数を「4日」にする形態。
週5日働いていた時の労働時間と比べて、1日の労働時間を長くするケース(1週間に働く時間は変えない)と、そのままの時間で休みだけを増やすケースがある。●働く時間帯を変える(時差出勤・朝方勤務・サマータイム・フレックスタイム制度)
社員の意思で働く時間を自由に変更してよい場合と、会社全体で「7~9月は始業・終業時刻を1時間早める」とする場合がある。
どちらの場合も、「1か月の総労働時間(1か月トータルで働く時間)」は変更せずに、日々の働く時間を調整することが多い。●子連れ出勤・事業所内保育
保育園や幼稚園に預けるまでの子どもを会社に連れてきて働く働き方。
子どもたちが自由にオフィス内を行き来している会社もあれば、子どもたちが遊ぶスペースを確保している会社、また会社が社内に保育所を設ける場合もある。●時間外労働(残業時間)が少ない社員に生産性手当を支給
評価を組み込む場合、あるいは単純に時間数に応じて賞与などを増額する場合もあります。
「残業代を稼ぐことで生活を成り立たせているんだ」という社員の方には、響く手法かもしれません。●朝礼で今日の退社時刻を発表する・1週間ごと社員の労働時間をリーダークラス以上で共有する
働く時間に意識を向けるための方策と言えます。
ダイエットをしようとする人が、毎日体重計に乗り自分の体重と向き合うことと似ています。
●超フレックスタイム制
日々の働く時間は個人が決める。
その結果、1か月で働くこととしている時間(1か月の所定労働時間)に満たなくても、給与カットしない(通常のフレックスタイム制は、カットするか翌月に労働時間を持ち越す)。1か月の所定労働時間を超えた場合は、時間外手当を支払う。
ちなみに、弊社(株式会社Niesul(ニースル))では、この「超フレックスタイム制」を導入しています。
まとめ
これらを紹介すると、ウチにはできない…という声が聞こえてくることもあります。
確かに「現状そのまま」で制度だけ入れるというのは難しいでしょうし、
制度だけを作っても意味はありません。
ではどうすれば良いのか。
具体的な方策は引き続きコラムで掲載していきます。
しかし、一番大切なことは、まずは「知り」、
そして「自社にとって・自分にとって良い働き方は何か」と向き合うことです。
なぜなら、働き方改革の目的は「誰もが活躍できる世の中を作るため」に、どうすれば自分達がもっとイキイキと働くことができるか、あるいは生きることができるか、それらを考える一つのきっかけであるからです(参考:社内で実践!働き方改革の進め方(1)知る~3分で分かる「働き方改革」解説)
・「社員」にはどんな種類(タイプ)があるのか
・どんな働き方の工夫をしている会社があるのか
まずは今の時代の状況を知り、次のステップにつなげていただけたらと思います。
次のコラムは、「社内で実践!働き方改革の進め方(3)知る~多様な働き方って、例えば何?(社外編)」です。
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